「家で働く」の解決策を理解しはじめて、家全体が生まれ変わった。
「家で働く」ために、ソファを無くした。家中のものを捨て続けた。
リビングの片隅に構えた1畳ほどのオフィスが、お気に入りの場所になった。
14ヶ月かけてたどり着いた、小さな家のリビングで働く方法。
経過も含め、たっぷりとルームツアーとして紹介したい。
ルームツアー|14ヶ月かけて「働く環境」を狭い家に作った話。
2020年3月より「家で働く」がはじまった。
もちろん、コロナによる子どもたちの休校がきっかけ。
夫婦で事業を営んでおり、家で働くしかなかった。
「家で働く」という大きな変化は、家族の家の居心地を急速に低下させ、部屋を荒らした・・・
ー14ヶ月後
住んで10年の中「今までで一番スッキリと快適で居心地のよい家」に生まれ変わった!
9ヶ月も無駄にした「足す」という失敗。
3ヶ月で劇的に変化した「引く」という正解。
「考え方の違いが、大きな差を生んだ」ことを僕は身をもって体験した。
この特集記事は「働くための部屋を確保できない人」のための解決策。
暮らすと働くが混ざり合う日常はどうすれば快適になるのか。
働くスペースに1室使える人には役立たない内容だ。
でも、今も「家で働く」に悩み、
働くためだけの部屋がないとしたら読んで欲しい。
「家で働く」失敗と成功の違い
僕を失敗へ導いた考え方
「今の家のまま、働く環境を加えよう」
今の「暮らし」をなるべく変えず、「働く」を足すという考え方。これが大きな間違いだった。
失敗の軌跡をご紹介 2020年3月〜12月
2020年3月、僕は事務所から小さなデスクを家に持ってきた。
デスク環境は、Macbook Proにサブ端末としてiPadでのスタートだった。
住んでいる家は、2LDKの間取りを購入時にリノベした1LDK。LDKは広めの20畳だが、個室は1つ、妻と子どもたちの寝室だった。
当然、僕のワークスペースはリビング。デスクが唯一置ける場所は、バルコニー側の窓前(下図赤)だった。
結果、事務所で働いていた時に比べ生産性は低下の一途。
「原因はこのデスク環境だ!」とデスクセットアップの改善をはじめた。
1回目のデスク環境改善 2020年6月〜9月
肩コリ腰痛に悩まされる。画面の高さを変える。入力デバイスを変える。で解決に。
肩コリ腰痛は少しマシにはなったが・・・。リビングは荒れていく。。
2回目のデスク環境改善 2020年10月〜12月
ノートPCの画面じゃ作業効率が悪いと、ウルトラワイドモニターを導入。
腱鞘炎ぽさもあり、トラックボールも追加。作業効率は上がったのだが「家で働く」がうまくいかない。
ここで気づいた!
「今の家のまま、働く環境をつくろう!」という足し算思考という間違い。
「家で働く」には、「働く機能を入れる余白」をまずはつくるべきだと。
僕を成功へ導いた考え方
「暮らす」をスリム化して「暮らす働く」新しい家に変えよう!
今の家を見直し、暮らし働く家を再構築する。
当然、まずやるべきは
・暮らしのスリム化
・断捨離
・整理整頓
という地味なもの。
しかし、この地味な継続こそ劇的な効果を生むこととなった。
ーダイニングテーブルの奥にワークスペースを
デスクは奥行の短いものを探し「エレクターヴィンテージシリーズのワークテーブル」が見つかった。
横幅120㎝のものを2台横並びにして、ダイニングテーブルとの一体感を出した。
ーリビングをスッキリと生活感なく
デスク2台のうち、右側は収納兼、飾り棚に。この収納によって、LDKの生活感多めのモノたちを納めることができる。
飾り棚には、花瓶や書類入れ、iPad 立てを置いた。切り花を生けるようになって、リビングの雰囲気も華やいだ。
ロフトから見るとこんなLDK。ダイニングとワークスペースが一体化しつつも、機能的になった。
ソファを無くし。広々としたリビングスペース。撮影スタジオという空間にも。
ソファ代わりに「人がダメになる系のクッション」を。仕事中は寝室に移動し、使うときだけ持ってくる。
小型ブース&ロフト、ウォーキングクローゼット側にも収納用品を増やし、散らからない工夫を。
グリーンや花などもロフトに飾ることでリラックス感を出している。
小型ブースにあるデスクは妻のワークスペース兼、娘の部屋に。
学校に行っている間だけ、妻がワークスペースとして活用し、娘が帰宅後はここで宿題したり、遊んだりしている。
机の両脇には扉で見えないが本棚が置かれ、娘と息子のおもちゃや本などを納めている。死角に収納を詰め込んだ感じ。
物置と化していたロフトは全て整理して、手前に収納用品を配置しつつ、奥は僕の寝室になっている。
住んで10年となった我が家は「今までで一番スッキリと快適で居心地のよい空間」に辿り着いたのだ。
大きな失敗から考え直し「快適に家で暮らし働く」には、どうすればいいのか。
具体的に、どのようにすれば「家で働く」はうまくいくのか。
失敗したからこそ分かったことがあった。その結果をまとめていきたい。
↓次から「暮らす働く家」に変える5Stepをご紹介
「暮らす働く家」への5STEP
僕が経験した失敗例から分かる通り「今までと同じ家に働くを加える」というのがまず間違い。
快適に「家で働く」には、
「暮らす家」→「暮らす働く家」への変化が必要。
多くの人がこのコロナ禍で、引っ越しや新しい家の購入をした。これは「暮らす働く家」への変化として、解決策だったののだと思う。
もし「引っ越さなくては・・・」と思っているなら読んで欲しい。
ここでは、今の家のまま快適に「暮らす働く家」へ変化させる方法を、僕のケースと共に5STEPでまとめていきたい。
STEP0.最小ワークスペースの公式を知る
・公式を知っておこう!
最小ワークスペース = デスク幅 × (デスク奥行+80㎝)
ワークスペースをつくるには
使うデスクの幅×奥行に80㎝を足したスペース
がおおよそ必要となります。
デスクの奥行に80㎝足す理由は、机への動線と椅子の引き幅としての必要スペースだから。
このことを頭に入れながら、どの部屋のどこにワークスペースをつくろうかと考えてみることがポイントです。
STEP1.ワークスペースの位置、イメージを決める
リビングダイニングや個室、どの空間のどこにワークスペースを置くべきなのか。
まずはイメージをつくるのがこのSTEP1となります。STEP1は主に3つのことをしておきたい。
STEP1.ワークスペースの位置、イメージを決める
①自分が思い描くワークスペースを、具体化する
②ワークスペースをどこにするか決める
③今から減らさなくてはならないモノ・量を見積もる
ー僕のケースをご紹介!
STEP1ー①自分が思い描くワークスペースを、具体化する
僕の場合、イメージを具体化する作業によく使うのが「Pinterest」だ。
今回は「DESK SET UP」などと検索して、リビングのワークスペースをどんなイメージにしたいのかを固めていった。
「鉄と木をつかった カウンターのようなデスクがいいのでは」
「カウンターみたいなデスクなら存在感を抑えることができるんじゃないか」
そんなイメージができあがってきた!
STEP1-②ワークスペースをどこにするか決める
ー失敗したワークスペースの配置
当時のLDKの中で、デスクが置ける場所を探した結果、バルコニーの窓前だった。
とりあえずでスタートしたものの、常に視界の中にデスクがあるのはかなり居心地が悪かった。。。
Beforeの失敗を踏まえ、リビングで目に付きにくい場所キッチン前の壁にデスクを置く方向で考えることに。
STEP1-③今のLDKから減らさなくてはならないモノ・量を見積もる
ー僕の場合
右下にあるロフトが使わないものたちの物置と化していた。
またウォーキングクローゼットにも、今後着ないと予想される服たちが大量にあった。
そして、今後も「家で働く」を考えると撮影スペースが欲しい。そのため、ソファを事務所に移動することで、リビングからなくすことにした。
STEP2.とにかく捨て、空間的余裕をつくる
「暮らす働く家」に変えるためには「まず余裕を作ること」が必須。
僕はこの行程をせず、今までのLDKにデスク1台を足すことで、当初失敗した。
言えることは1つ。とにかく捨てよう。きっと捨てるものはあふれているはずだ。
STEP2.とにかく捨て、空間的余裕をつくる
①家にあるもの、収納してあるものを順にチェック!
②数年使ってないものは、即捨てるor売る!/ ここ1年使ってないものも、捨てるべきか検討する!
この①→②を、部屋ごとにやっていくこと。少しづつ2〜4週間ぐらいかけてやる方が進みやすい
ー僕のケースをご紹介!
・ソファをリビングから無くす(事務所へ移動)
・すんごい大量の洋服(ウォーキングクローゼット)
→ゴミ袋15個分ぐらい譲ったり、捨てたり
・古く使わないPC→計6台ほど処理会社へ
・本や雑誌→段ボール6箱分処理
・その他、ゴミ袋20袋以上分は減らした
↓
元々家にあったものを25%程度は減らすことになった。
ポイントはちょっとづつ。
今日はこの収納、今日は靴箱など
数日に1回、1時間程度の時間を取ってやっていった。
STEP3.収納力を上げ、生活感を消していく
仕事に集中するという観点でも「生活感のあるものを見えなくしていくこと」がポイント。
収納用品を活用して、なるべく隠す収納を取り入れてみよう。
STEP3.収納力を上げ、生活感を消していく
①収納場所を決め、増やせるかを検討する。
②収納場所に合う隠せる収納用品を購入する。
ー重要な2つの問い
・今の収納場所以外に収納に適した場所はないか。
・今のより収納能力を増やせないか。
この2点を踏まえた上で、
場所により適した、収納しやすい収納用品を。
特に生活感を消せる「隠せる収納用品」を購入しよう。
ー僕のケースをご紹介!
STEP3ー①収納場所を決め、増やせるかを検討する。
僕の場合は、デスクを導入する際に、2台横並びとし、1台はLDKで散らかりがちなモノたちを入れる収納兼、飾り棚として活用することに。
STEP3ー②収納場所に合う隠せる収納用品を購入する。
業務用の収納ケースを活用することで、生活感を消しつつ、リビングの散らかりがちなものたちを一掃することに成功した。
これは、ガレージや物流倉庫でつかう製品だが、Amazonとモノタロウで購入した。
この他にも家中の収納用品を見直し、業務用の収納ボックスを大量に買って仕分けていった。
STEP4.プランに合わせて模様替え
モノを減らし、収納力をUPしたところで、テーブルやソファ、その他収納用品などをキレイに整えていこう。
STEP4. プランに合わせて模様替え
①紙に間取り図を描いて、プランを練ってみる
②実際に家具や収納用品をレイアウトしてみる
実際には、①→②を繰り返しながら、自分たち家族に合う形を作っていくイメージ。
1回で終わらせるのではなく、再プラン→レイアウトを続けることで、理想の「家で働く」が見えてくる。
ー僕のケースをご紹介!
①紙に間取り図を描いて、プランを練ってみる
デスクは一番リビングで目に付きにくいキッチン前にすることに決定。
リビングのソファを無くして撮影スペースに。
小型ブースにも収納を足すことで、子どもたちの散らかりがちなおもちゃや本なども隠せるように。扉の上に隠れて両脇に同じ収納棚がある。
②実際に家具や収納用品をレイアウトしてみる
ワークスペースとなった左のデスクとリビングの収納となる右のデスク。
キレイに収納が収まる収納用品の組み合わせやどんなデスクワゴンを買うべきかなど。
実際にデスクを壁際に2台置いて、見ながら考えていった。
↓次では、いよいよデスクセットアップへ
STEP5.仕事が楽しいデスクセットアップに
いよいよ理想のデスク環境・デスクセットアップをつくる段階。
体への負担や集中力を高めるデスクチェア。作業効率UPするキーボードやマウス。
会議や音楽の音質にもも楽しむヘッドホン。
自分の理想の環境を追求してみましょう。
STEP5.仕事が楽しいデスクセットアップに
①今のデスク環境の不満を書き出す
②不満を解消するガジェットを探し導入する。
実際は他のSTEPと同様に、①→②を繰り返しながら改善するイメージ。
ー僕のケースを紹介!
▲ベランダ側の窓前時代のデスクセットアップ。家で働く8ヶ月経過時のもの。
①今のデスク環境の不満を書き出す
・椅子が合っていないのか肩コリ腰痛が酷い
・仕事の資料などを納める場所が欲しい
・奥行45㎝のデスクに変えるため、モニターの脚が邪魔
・目が疲れる
・変えるデスクとキーボードのトーンが合っていない
といった感じだった。これを改善するためのガジェットを導入しつつ、デスクセットアップを整えていった。
②不満を解消するガジェットを探し、試す
・椅子が合っていないのか肩コリ腰痛が酷い
↓
「エルゴヒューマン ベーシック」という高機能オフィスチェアを導入した。
このアイテムの記事はこちら
・仕事の資料などを納める場所が欲しい
↓
「DEVAISE スリムワゴン」を導入し、仕事関係の書類やモノを納めることで、デスクの上がいつもスッキリに。
・奥行45㎝のデスクに変えたため、モニターの脚が邪魔
↓
「LG エルゴノミクス スタンド 4Kモニター ディスプレイ 31.5inch」を導入。
ワイドモニター時よりも作業領域を広げつつ、
モニターアームで奥行45㎝の狭いデスクでも快適な作業が可能に。
LG エルゴノミクス スタンド 4Kモニター レビュー|狭小デスクで大画面&ケーブル1本運用で快適に・目が疲れる
↓
「Quntis 掛け式 モニターライト」を導入。
ディスプレイからの反射が収まり、以前より目が疲れにくい環境となった。
・変えたデスクとキーボードのトーンが合っていない
↓
「Keychron K2(キークローンK2)」というデザインに惚れたUS配列のメカニカルキーボードを導入した。
ダイニングテーブルと一体化しつつも、仕事に集中できるデスクセットアップができあがった。
ここまで14ヶ月。仕事に集中できる環境がやっと整った。僕の「家で働く」がやっとはじまりを迎えた気がした。
2021年版「最強 デスクセットアップ 」オススメ11選最後に・・・「家で働く」ゲームの先に待つ「自由な未来」と「不自由な未来」
今回「家で働く」ことを特集に書いていこうと決めてから、いろんな資料を探しては読んでいた。
その中に面白い資料があった。
2016年に厚生労働省が発表した「働き方の未来 2035」という報告書である。
要点をまとめると・・・
・AIの進歩で、人間の代わりにやってくれるものが増える
・VR会議など、遠隔で働くための技術革新が進み会うことと差がなくなっていく
・毎日出社する方が、普通じゃなくなっていく
・勤務態度などの評価が不可能となり、仕事の成果による評価となる
・勤続年数より仕事の内容・難易度でベース賃金が決定するようになる
・復業 / 副業が当たり前で、誰もが個人事業主(フリーランサー)のようになる
↓
今より自由に住む場所、仕事を選び、充実した働く環境になっていくよとのこと。
これが、面白いのはコロナ禍に書かれたものではなく、2016年8月に公開されたもの。
コロナにより、一気に在宅勤務、テレワークが進んだが、明らかにこっちの方向に向かっている気がする。
書かれている方向としては「働く人にとってとっても理想的」なように書かれていた。
僕には平等で残酷な環境が待っているということなんだと思った。
そして、そういった未来はきっと来るんだとも・・・。
・作業的な仕事はAIがやってくれたら、どれぐらいのコストが浮くのだろうか。
・仕事の内容と成果で賃金設定ができたら、どのぐらいのコストが浮くのだろうか。
・オフィスを縮小して、各自の家で働いてもらえたらどのぐらいのコストが浮くのだろうか。
・有能な人材を、社員という形じゃなくても自社の仕事に関わってもらえたらどれだけ仕事が進むだろうか。
これらは会社側から見たら、導入したくなる、進めたくなるものばかりだ。
だからこそ、きっとこの未来はくるだろう。
「働く」能力を、自分の家で発揮できること。
「働く」能力を自ら磨くこと。
この2つが未来に向け求められる。
そのために必要なインフラこそ「家で働く」環境だと思うのです。
コロナで加速した「家で働く」。
このはじまりにこそ、真剣に向き合う時なのかもしれません。
●今回のLife DIYの特集は、「働く」が家にやってきた!です。
僕が使っているモノたち。オススメなども記事にしました。こちらも合わせてどうぞー。
INDEX
ー特集記事
2021年版「最強 デスクセットアップ 」オススメ11選ーオススメアイテム紹介
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